Brexit:Update
こんばんわ!(夜更かししてて無性に書きたくなったので書いてます)
お久しぶりすぎるくらいお久しぶりのブログです。
今見てみると、最後に更新した留学の振り返り記事はなんと128日前でした…もう4ヶ月以上も経ったのか…
今日ブログを開いてみると、こんなに更新していないのにGoogle検索などから今でも毎日多くの人がブログを見てくださっていてびっくりしました。ありがたい限りです😭
エディンバラ生活がたまに恋しくなりますが、日本での生活も忙しいけどとても充実してます。
やっぱり何か答えのないようなことを友達と話し合いながら考えるのがすごく好きで、そういうことも是非是非またブログに書きたいんですが、今回は題名にあるように以前に記事で書いたこともある、Brexit: つまりイギリスのEU脱退に関することを書こうと思います!!
というのも、僕が前にBrexitの記事を書いたのは7、8ヶ月前で、それ以降Brexitを巡る情勢はみるみる変わっています。そして何より、後でまた述べますが本来の離脱期日の今年3月から延期された離脱日の10月31日が目前に迫っており、僕自身が今月下旬に1週間ほどロンドンに行く用事があるので、ここでBrexitのアップデートを書いておこうと思ったわけです。
前の2つのBrexit記事ではその背景や用語などについて少しまとめているので、まだ読んでいない方はぜひ!リンク貼っておきます🙌
今回もなるべくわかりやすく、簡単にまとめられるように頑張ります!!笑
Brexitの動向
前回の記事からの更新事項を簡単に書いていきます。
まず、今となってはだいぶ前となってしまった今年の3月頃に戻ります。
当時のテレサ・メイ首相は、予定されていたイギリスの離脱期日であった3月29日を目前に、この何ヶ月ずっと、EU側の要求もある程度飲みつつ、イギリスの議会・国民を納得させるような、言ってみればめちゃくちゃに難しい条件交渉をしていました。2016年の国民投票で離脱が決まったからといって、「はい、じゃあ抜けます」という簡単なものではないからです。
抜けた後のEUとイギリスの関係性、例えば貿易市場やヒトの移動はどうするのか、離脱に伴うイギリスからEUへの手切れ金的なお金の存在など、交渉しないといけないことは山ほどあります。
難航する交渉の中、メイ首相が捻り出した交渉案は修正案と合わせ3度に渡ってイギリス議会に圧倒的多数で否決される始末。このままではなんの交渉案もないまま、いわゆる「No Deal Brexit」か…?という状況でした。
そこでイギリスが取った策が、「離脱の延長」です。4月12日までに代替案を出すよう譲歩したEUに、メイ首相はさらなる延期を要求。EU側は最長10月末までの延期を認めました。
こうして10月31日の離脱日が出来上がったわけです。
その後もなかなかうまくいかないEUとの交渉。そんな中、キャメロン首相からBrexitを受け継ぎ困難な首相生活を送ってきたメイ首相がついに5月に辞任しました。
辞任会見では最後部分でイギリスへの愛を述べつつ涙を流す様子が見られましたが、なかなか世論の目は厳しく、彼女が内務大臣時代に行ってきた移民への圧迫的な政策など右翼的な部分が指摘されることも多かったです。Brexitというとんでもなく難しい問題を任されてしまったという意味で、「かわいそうな首相」という評価は多くの人が認めているようです。
ちなみに左が首相就任前、右が首相辞任会見でのメイさんの写真です。心なしか疲れ切っているように見えます…大変だったでしょう
そしてそして、イギリスは次なる首相を選ばなければいけなくなったわけですが、ここで選ばれたのはボリス・ジョンソンさん。元ロンドン市長で、もともと力のある政治家だったことに加え、私生活や発言、その見た目(特に無造作な髪型)がよく話題になる人でした。こちらがそのボリス・ジョンソン首相。
もともとキャメロン首相の次はこの人が首相だろうと言われていたので、メイさんの後継ぎとしても最有力候補でした。
そしてこの人が首相になってから、イギリスはまたまた大きな転換点を迎えます。
なんとこのジョンソン首相、「イギリスのトランプ大統領」と言われることもある、超強硬派のBrexit賛成派です。
首相になる前から一貫してBrexit賛成派を主導しており、どちらかというと温厚にEUとの交渉を進めたいメイさんとは大きく異なり、「No Deal でもなんでも、絶対に離脱だ!」みたいな感じです。
その姿勢通り、ジョンソン首相は内閣の主要ポストを賛成派で埋めただけでなく、「さらなる離脱期限延期ならば、Death in a Ditch (のたれ死にみたいなニュアンス)の方がマシだ」という強気な発言のもと、Brexit反対派の議員たちを次々と保守党から解任していっています。
さらにさらに、皆さんもニュースで見てなんだこれ?と思われたかもしれませんが、「議会の閉鎖」です。
ジョンソン首相はなんと、Brexitの強行実施に踏み切るため、不信任投票などで議会が妨害しないように9月中旬から10月中旬まで議会を閉鎖するという民主主義がひっくり返るようなことをやっちゃいます。
これにはさすがに司法も黙っておらず、9月24日にイギリスの最高裁は議会閉鎖を違憲として、翌日からの議会再開を宣言しました。
こうして議会が再開された以上、ジョンソン首相が当初目指していたこのまま10月末で強硬離脱するというシナリオは難しくなったと言えます。
しかし、そこで10月に入ってすぐジョンソン首相が提案した離脱案は、メイ首相の交渉内容を踏まえ一定の工夫も見られるものの、EU側やカギを握るアイルランド側から妥結策とは見なされておらず、いまだに交渉は膠着状態です。
ふーーーーー、やっと現在に追いつきました。改めて、なんともタフな問題です。Brexit。
結局今は、イギリスは「Brexit強硬派のジョンソン首相vs強硬離脱には慎重派の多い議会」の構造であり、もうすぐそこに迫った離脱期限に慌てるばかりです。
このままいくと本当にNo Deal Brexitが起こってしまうかもしれないし、さらなる離脱期日延期がなされるかもしれません。
そういう意味で10月末にロンドンに行くのは、混乱しているのかなという部分も含めかなり楽しみです笑
Brexitに関するジョーク
もうだいぶエネルギーを使ってしまったのですが、もう1つ話したい真面目な内容があるので、それに行く前にBrexitに関するジョークで、僕が「うまいな…!!」と思ったものを1つ紹介します。
James Acasterというイギリスのコメディアンがいるんですが、彼がBrexitを紅茶に例えて言ったものです。Youtubeを貼るので、ぜひ見てみてください。 (1分くらいの短い動画です)
何を言っているのか説明します。
紅茶を作る時、ティーバッグ入れますよね。友人が紅茶を作ってくれた際、彼はティーバッグを入れたままにするか出すか聞かれました。普通ティーバッグって出すでしょと思うかもしれませんが、濃い味が好きな人とかは結構そのまま入れてます。
これは紅茶をEUに、ティーバッグをイギリスに連想させるジョークです。
何を言っているのかと言うと、
"If you leave the bag in, over time, the cup of tea itself as a whole gets stronger, and it might appear that the bag is getting weaker but it's now part of a strong cup of tea."
"Whereas, if you take the bag out, the tea is now quite weak and the bag itself goes directly in the bin."
つまり、「ティーバッグをそのままにしておくと、そのカップの紅茶はどんどん濃く(強く)なっていき、その中にあるティーバッグはどんどん吸収され薄く(弱く)なっていく。けれどその薄い(弱い)ティーバッグは濃い(強い)紅茶の一部になれる。」
「一方で、ティーバッグを取り出すと、紅茶は薄く(弱く)なってしまうけど、ティーバッグはそのままゴミ箱へ捨てられる。」
どうですかこれ。うまいと思いません?笑
EUに残留すれば強大なEUの一部として存在できるけど、あくまでEUの一部となってしまう一方で、離脱すれば未来はないかもしれないというBrexitのジレンマを見事に表していると思います
WTOルールについて
ちょっとしたジョークも紹介したところで、最後に簡単にもう1つ。ブレグジットの議論の中で、「WTO」という単語を聞いたことがありますか?
これは世界貿易機関(World Trade Organization)のことなのですが、これがどうBrexitに関係があるのか。
Brexitの問題点として、イギリスはこれまでのEUという巨大で強力な貿易市場を失い、新たな貿易体制を構築しなければなりません。
そこで離脱賛成派が主張するのが、「WTOルールに従って貿易すればいいだけじゃないか」というもの。
WTOは世界の貿易を取り仕切る機関として、関税や貿易割当に関して一定の基準を定めています。これがWTOルール。
でもこの話、実は非常に危険だと指摘されています。ここについて、イギリスの有識者Edwin HaywardさんがTwitterで説明していたものがわかりやすかったので参考にさせて頂きました。リンク貼っておきます。
https://twitter.com/uk_domain_names/status/1073221524545363973
まず、イギリスは現在、EUの貿易市場の一員として、750を超える国際条約に加盟しています。その多くは貿易協定が占め、こうした条約によってイギリスはEUやEEA、そして40を超えるその他の国々と自由貿易をすることができています。条約は貿易以外にも市民権や労働者の権利、飛行機の耐空証明や食料の安全保障など、多岐に渡ります。
Brexitが起こると、イギリスはEUを通して参加しているこうした条約から受けている恩恵すべてを一瞬にして失うことになります。
イギリスは現在、78カ国(保留中を加えるとさらに多い)と貿易協定を共有しており、それらとの貿易はモノの輸入の60.7%、輸出の66.9%を占めています。その協定を失うということです。
そして重要なのは、WTOルールは、あくまで最低ラインの貿易体制でしかないということです。
世界中の国がなるべく損なくスムーズに貿易できるよう設計されたものであり、あくまでも各国が確実に死守したい貿易ラインを定めているに過ぎないのです。
だからこそこうして世界にはWTOルールよりももっと高い基準を目指して各国は貿易協定を独自に結びます。
つまり、EUの貿易市場から抜けたって、WTOルールに則って貿易すれば大丈夫という見方は、実はかなり危険な考えかもしれないのです。イギリスはEU市場から受けていた恩恵を失い、WTOルールという最低限ラインの基準での貿易を余儀なくされるかもしれず、そうなった場合に国際社会におけるイギリスの貿易力は大きく低下すると考えられます。
そんなこんなで、わかりやすくまとめるとは言ったもののなかなか長くて難しいブログになってしまいました笑
ほんとに難しくて複雑だけど、その分知れば知るほど面白いBrexit。離脱期日がもうすぐそこに迫る中、今後イギリスがどうなっていくのか、また進捗あれば書こうと思います!
おまけ
おまけで言う話ではないかも知れませんが、僕の留学先エディンバラのあるスコットランドでの大規模なデモがニュースになっていました。離脱期限が迫る中で再び独立への国民投票を求めるものだったようで、その規模なんと20万人とのこと。
僕がいた頃にも独立を求めるデモはありましたが、さすがにここまでの規模ではなかったので、Brexitと同様、スコットランドの独立問題ももしかしたら何か動きがあるかも知れません!こちらもまた何かあったら書きたいですね😎
それではまた〜!!!